長時間労働が依然改善されない教職員の働き方改革を巡り、県教委は新たな計画を策定する。「過労死ライン」とされる月80時間を超える時間外勤務(残業)の教職員を、2027年度までにゼロとする目標を掲げる方針だ。

 学校以外が担うべき業務や教師以外が積極的に参画すべきもの、教師の仕事だが負担軽減を促進できる内容などを分類して示し、削減に取り組んでもらう。徹底した業務の見直しにより時間を生み出して児童生徒と向き合う時間を増やし、教師ならではの専門性が生かせる学校環境づくりを目指したい。

 県教委は現在、26年度までが計画期間の「学校における働き方改革推進プラン(第2期)」で、業務改善、残業時間縮減に取り組んでいる。2期プランでも残業時間を月45時間以下とすることや、月80時間超はゼロとすることを目標としている。

 県内公立学校に勤務する教職員を対象とした本年度の調査では、月45時間以下の教職員の割合は53・6%で、月80時間超は11・5%だった。19~24年度の調査を見ると、月45時間以下の割合は50%前後で推移し、80時間超は一桁の年もあった。改善傾向をたどったと言えるが、目標には遠く及ばない。一層の意識改革と取り組みの強化が求められる。

 県教委は19年度から、働き方改革を実践するモデル校を小中高校・特別支援学校から毎年20校指定し、外部講師による助言や研修などを実施してきた。モデル校の好事例を共有することで改善するなど、波及効果が認められるという。今後は、これまで積み上げた取り組みの成果を、さらに広く浸透させる仕組みづくりが必要だ。

 新計画ではワーク・ライフ・バランスや働きがいに関する目標も設ける。本年度調査では、6割超がおおむね満足という回答だった。ただ中学は半数程度にとどまるなど満足度が低く、負担軽減など具体的な対策が急務と言える。

 残業時間縮減の目標達成は前提だが、児童生徒と向き合う時間が削られるようでは本末転倒だ。教師にとっては、児童生徒一人一人の状況に応じて丁寧に指導できる環境が理想だろう。

 登下校の見守りなど、地域もボランティアなどで協力できることはある。保護者や地域の理解も不可欠である。