日銀の植田和男総裁は1日、名古屋市での地元経済団体との懇談会で、18、19日に開く次回の金融政策決定会合で「利上げの是非について、適切に判断したい」と述べた。米国経済や関税政策を巡る不確実性は低下していると指摘し「経済、物価の中心的な見通しが実現していく確度は、少しずつ高まってきている」と語った。

 植田総裁の発言後、長期金利の指標である新発10年債の利回りが一時1・850%に上昇した。日本相互証券によると、2008年6月以来、約17年半ぶりの高水準。

 植田総裁は、経済や物価が想定通り推移すれば「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整する」とこれまでの方針も強調した。

 適切な時期での利上げは、市場の安定のためだとした上で「物価安定目標をスムーズに実現するとともに、わが国経済を息の長い成長軌道に乗せるために必要だ」と語った。「政府と日銀の取り組みを最終的に成功させることにつながる」とも述べた。