日本弁理士会会長賞の賞状を手にする西堀哲也取締役

実施功績賞の賞状を持つ西堀和男社長(右)

赤色LED光が照射された透明タンクの醪

日本弁理士会会長賞の賞状を手にする西堀哲也取締役 実施功績賞の賞状を持つ西堀和男社長(右) 赤色LED光が照射された透明タンクの醪

 西堀酒造(小山市)は20日、水戸市内で行われた発明協会の2025年度関東地方発明表彰式で同社の特許技術「色光照射発酵日本酒の醸造方法および製造装置」が高く評価され、日本弁理士会会長賞と実施功績賞を受賞した。

 対象となった特許技術は、日本酒醸造において透過性素材(アクリル)のタンクと複数の発光ダイオード(LED)光源を用い、異なる波長の光を発酵中の醪(もろみ)へ照射することで、糖化と発酵のバランスを制御する新たな醸造方法と製造装置の発明だ。

 従来は温度調整によって発酵を制御していたが、醪の温度操作には限界があり、管理負担が大きかった。この発明は、可視光線の範囲内でLED光を連続照射し、発酵速度と酒質を波長によって変化させる点に特徴がある。透明タンク内で約25日間の発酵を行い、赤色光は発酵を促進し辛口傾向に、青色光は発酵を抑制して甘口傾向になることを実証した。醪の分析値に応じて照射光を切り替えることで、発酵管理の精緻化・効率化を実現した。

 発明協会は「従来、光の照射は酒質に悪影響を与えるとされてきた酒造業界の通念に捉われず、開発された新規性の高い技術であり、日本酒の付加価値向上や高価格帯市場の開拓に寄与している。また酒造りの省エネルギー化や管理負担の軽減を可能とし、酒造業界の振興に貢献している」と評価した。

 関東地方発明表彰の特別賞受賞は、22年度に「透過性素材を用いた醸造装置(アクリルタンク)」が関東経済産業局長賞を受賞したことに続く。

 西堀和男(にしぼり・かずお)社長は「名だたる大企業各社に並び、このような栄誉ある表彰を賜りましたことに、心より感謝申し上げます」と喜んだ。その上で「今回の受賞を大きな励みとし、今後も醸造技術のイノベーション・革新に一層取り組むとともに、酒造業者としての技術研さんを重ね、将来にわたり業界内外に良い影響を与えられるようなものづくりを続けていきたい」と話した。