ポスティングシステムで米大リーグ挑戦を表明したプロ野球西武の今井達也(いまいたつや)投手(27)=鹿沼市出身、作新学院高出=について、米大リーグ機構が契約可能選手として全30球団に通知した。いよいよ争奪戦が始まる。世界最高峰の舞台で来季、快投を披露する本県出身右腕が見られることを期待したい。
エースとして同校を54年ぶりの全国制覇に導いた2016年夏の甲子園から9年がたつ。その勇姿が記憶に新しい本県野球ファンは多いだろう。卒業後の17年、ドラフト1位で西武に入団。1年目は右肩の炎症などに苦しみ2軍で過ごしたが、その後は1軍でフォーム改造など試行錯誤を重ねながら、24、25年は開幕投手を任された。
24年はリーグ最多の187奪三振、25年は防御率1・92の好記録を残し、今ではプロ野球界を代表する投手の一人と言っていい。ここ数年は余計な力を抜いた独自のフォームにたどり着き、そのフォームもあってか大きな故障が少ないのも強みだろう。大リーグ公式サイトで今オフの移籍市場に出る先発投手の3位に評価されるなど、注目を集めている。本人は強豪チームの高いレベルでプレーすることを望んでいるといい、本領を発揮できる球団を射止めることを願いたい。
25年に大リーグでプレーした日本人選手はドジャースの大谷翔平(おおたにしょうへい)選手、今井投手と同い年の山本由伸(やまもとよしのぶ)投手ら10人以上。日本球界の人材流出を懸念する声もあるが、報道などを通じて国内に紹介される活躍ぶりは野球人気の底上げに貢献していると言っていい。
24年度のスポーツ庁の調査で、この1年間でテレビ・インターネットで観戦したスポーツの1位は日本のプロ野球と大リーグを含む「プロ野球」で49・7%。前年度に比べ2位「高校野球」と3位「サッカー日本代表」が率を下げた一方、「プロ野球」は2・6ポイント上昇している。
一方で日本野球協議会が23年を対象に行った調査によると、日本の野球人口は約94万人で10年前に比べ約54万人減、学童軟式野球は約16万人で10万人余り減っている。人口減や少子化などもあり、競技人口は減り続けている。
大リーグの強打者と渡り合う今井投手に憧れ、子どもたちがボールやバットを握る。夢の実現を本県野球関係者も待ち望んでいるに違いない。
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