◎今週の一推しイベント
【22日(土)】
▽「永遠なる瞬間 ヴァン クリーフ&アーペル―ハイジュエリーが語るアール・デコ」(~26年1月18日、港区、日時指定予約制)
フランスの宝飾メゾン「ヴァン クリーフ&アーペル」の歴史的なハイジュエリーを紹介する展覧会が、アール・デコ様式で知られる白金台の旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館)で開かれている。
1925年にパリで開催された「現代装飾美術・産業美術国際博覧会」(通称アール・デコ博覧会)から100周年を記念した企画。同時代のジュエリーや工芸品など約250点が、館内装飾と調和する空間を楽しめる。
注目は、博覧会で宝飾部門グランプリに輝いた傑作「絡み合う花々、赤と白のローズ ブレスレット」(24年)。プラチナ、オニキス、ルビー、エメラルド、イエローダイヤモンド、ダイヤモンドで構成された、バラのモチーフが輝きを放つ。
学芸員の方波見瑠璃子さんは「草花などの自然を優美に様式化し、着ける人の快適さも追求している。大食堂だった室内の曲線美や、窓の外の庭の景色と響き合い、アール・デコ宝飾の本質的な魅力に触れられる」と話す。
世界初公開となるネクタイ形の「ネックレス」(29年)は、ダイヤモンドを958石あしらった革新的なデザイン。当時流行した中性的なファッション“ギャルソンヌ”から着想を得て、結び目の位置を首回りで自由に動かせる。遊び心に満ちた発想を実現した職人技が評判を呼んだという。
女性の社会進出に伴い30年代に考案された、実用的な装飾ケース「ミノディエール」の数々も展示。化粧品やたばこなどを収納するための機能的でモダンな造形からは、軽やかで活動的な新時代の女性像が鮮やかに浮かび上がる。
「アール・デコは、二つの世界大戦の間に花開いた。困難な時代にも美や幸運を忘れずに生きようとした人々の精神を、作品や展示空間から感じてほしい」
○そのほかのお薦めイベント
【22日(土)】
▽「没後40年マルク・シャガール展」(~12月7日、港区、入場無料)
20世紀美術の巨匠の一人、マルク・シャガールの没後40年を記念する展覧会が、銀座から青山へ今秋拠点を移した老舗「ギャルリーためなが東京店」で開催中だ。
ベラルーシのユダヤ人家庭に生まれ、1910年にパリへ渡る。“色彩の魔術師”と呼ばれ、詩情豊かな世界観を絵画や舞台美術、陶器といった多様な手法で表現した。
本展では、画家にとって重要なテーマとなった“花束”を描いた作品約30点を展示。ナチスの迫害を逃れて亡命した米国で愛妻ベラと死別し、第2次大戦後に移住した南フランスで制作した50年代以降の名作を紹介している。
深いブルーが印象的な「恋人たちと花束」は、大きな花束の下で寄りそう男女の姿から温かな情感が伝わる。70年制作の「愛の使者」は、南フランスの陽光に似た鮮やかな黄色など明るい色であふれた作品だ。故郷ベラルーシの村の景色や、サーカスに興じる人々、鳥、花束などおなじみのモチーフと共に、ベラを思わせるあでやかな女性が馬に乗った姿を描いた。
同時期に南フランスで活動していたピカソは「マチスが死んだら、シャガールが色を理解する唯一の画家となるだろう」と語っていたという。広報担当の今井淳子さんは「最愛の人の思い出と共に、画家が生涯にわたり表現し続けた愛と幸福の色彩を、花束を描いた作品を通して感じ取ってほしい」と話した。
▽「ミッドタウン八重洲 クリスマス 2025」(~12月25日、中央区)
“ジャパンクラフト×イルミネーション”をコンセプトに、日本の職人技に焦点を当てたクリスマスのイベントが、東京ミッドタウン八重洲で展開されている。
江戸時代に職人の町として栄えた同地ならではの催し。1階のガレリアに登場した全長約5メートルの「メリー コウゲイ ツリー」は圧巻だ。竹ひごを組み上げる静岡県の伝統工芸“駿河竹千筋細工”を採用して制作。幻想的な光がツリーの隙間からこぼれる。天井に長さ3メートルの光のカーテンを飾り、空間全体をきらびやかに演出した。
ツリーの周囲には、全国約60組の工芸作家による作品を展示。鈴木盛久工房(盛岡市)の南部鉄器、仙台市が拠点の作家・沢田いくみさんによるステンドグラスなど繊細な工芸品の数々が、日本のクリスマスの温かさを引き出している。
▽「フェスティブ・スイーツブッフェ with ロジェ・ガレ」(~26年1月4日、港区)
ANAインターコンチネンタルホテル東京(赤坂)の「ブリュワーズ コーヒー&バー」が、フランスの老舗フレグランスメゾン「ロジェ・ガレ」とのコラボによるスイーツビュッフェを行っている。
天然由来の素材を使った色彩豊かなソープや香水など、メゾンの2025年ホリデーシーズンアイテムの世界観から発想した企画。イチジクやジンジャー、バニラなどを使用したスイーツ15種を用意した。最も有名な丸形ソープ「サボン パフュメ」をかたどったフィナンシェは特に目を引く。セイボリー(塩味のメニュー)7種もワンプレートで提供。
ホテルのマーケティングマネジャー鄭優子さんは「ロジェ・ガレとのコラボは、今までにない意外な組み合わせだと思う。作り手の工夫で実現した、伝統的な美しさとかわいらしさが共存する世界観を楽しんでほしい」と話した。
ビュッフェ利用者にはミニサイズの香水サンプルをプレゼントする。
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