天鷹酒造の「【九尾】特別純米 温泉水仕込み 無濾過生原酒」

 天鷹酒造(大田原市)は11月29日、那須温泉の温泉水を使った日本酒「【九尾】特別純米 温泉水仕込み 無濾過生原酒」を限定発売する。温泉水仕込み酒は特定の顧客向けには造っていたが、一般向けに販売するのは初めて。

 【九尾】は天鷹酒造の中でも、原料米、精米歩合、酵母、醸し方など蔵人が自由な発想に挑むことで、愛飲家にその出会いをわくわくさせることをコンセプトにした特約店流通銘柄。

 同社によると、「名水あるところに銘酒あり」という言葉があるように、水は酒質を左右する重要な要素の一つ。硬度(水に含まれるカルシウムやマグネシウムのミネラル分含有量)によって硬水か軟水に分かれ、「灘の男酒、伏見の女酒」と表現されるほど硬度の違いによる酒質への影響は大きいという。

 仕込みに使う水のミネラル分は、発酵を助ける栄養成分として醸造の縁の下の力持ち的な役割を担っているが、基本的に蔵で使用する仕込み水は一つであり、その蔵の酒質が大きく変わることはない。

 しかし今回、醸造時の仕込み水の全量(洗米は除く)にミネラル分が豊富に含まれる那須温泉の温泉水を使う。このため「どのように発酵具合が変わるのか、香りや味わいはどの程度どんな方向性へ変化するのか、蔵人も未だ経験したことのない造りに挑むことになる」という。

 原料米は栃木県産あさひの夢を精米歩合60%で醸した。同社は「ふくらみのあるうま味とやや酸を感じるキレのある辛口」の酒質を目指しているが、醸造後の仕上がりが注目される。

 価格は720ミリリットルが1600円、1・8リットルが3200円。