「どうしても友だちになれない人がいる。小さなウソをつくやつと、アイアンの飛距離を自慢するやつ」。米国の歌手、俳優で20世紀を代表する世界的スター、ビング・クロスビーの名言だ。
御意、御意だ。
始めたばかりの若いプレーヤーに多いと思われるのが、飛距離の自慢。ドライバーの飛距離だったらまだ許せる。「150ヤードなら9番アイアンだな」「この前、170ヤードを7番で届いたよ」…。当然だが難易度が高いロングアイアンの飛距離を自慢するアマチュアは少ない。まさに「愚の骨頂」といえる。
今回はゴルフの名言をご紹介しよう。「サラリーマン川柳」のように「なるほど」「その通り」と膝を打つ方も多いだろう。
鬼籍に入ってしまったが、県内を代表するプレーヤーの言葉が忘れられない。「ゴルフは週1回。週1回休まなければ駄目だよ」。これを聞いて英国の政治家、貴族のデイビッド・ロイド・ジョージが残した名言を思い出す。「ハンディ30の人は、ゴルフをおろそかにする。ハンディ20の人は、家庭をおろそかにする。ハンディ10の人は、仕事をおろそかにする。ハンディ5以下の人は、全てをおろそかにする」。第1次世界大戦中の難しい時期に首相となり、英国を勝利に導いた人物のありがたいお言葉だ。
技術編。昔から「転がしが可能なら転がしなさい」といわれる。あの青木功(あおきいさお)は、グリーン周りのアプローチはまずパターを使えるかを考えたという。「人生にはいくら頑張っても長続きしないものが二つある。車の後を追う犬と、パー狙いのチップを打つゴルファーだ」という言葉を残したのは米国のプロゴルファー、リー・トレビノだ。チップとはグリーン周りからウエッジやショートアイアンでホールに寄せるショットのことである。チップショットは格好いい。だがライの状態などもあり、難しい。「難しいチップはやめて、転がしなさい」ということだ。
クラブ競技で初めて顔を合わせたプレーヤーの中で、悪気はないが“過少申告”という経験があるプレーヤーも多いのではないか。パー5でOBをして、ミスを連発しているのに「トリプルボギーです」という。マーカーとして指摘すると「じゃあ、いいです。9打で」。ホートン・スミスの言葉に「良いゴルファーのポケットには『謙虚』の2文字が隠されている」というのがある。スミスはマスターズの第1回大会優勝者だ。
「ちょっとした見えが、ゲームを台無しにする」。この言葉の主は、あのアーノルド・パーマー。練習場でできないことがコースでできるわけもないのに、挑戦して大たたき。1ショットでその日のゲームを台無しに、なんてこと、ないですか。パーマーとくれば、ジャック・ニクラウスの言葉も紹介しないわけにはいかないだろう。「ほとんどのゴルファーは、力は大きなバックスイングによって生まれるという勘違いをしている」。確かにそうだ。タイミングという大事なものを忘れている。
「ゴルフの唯一の欠点は、面白過ぎることだ」とは、英国最高のゴルフ評論家とも言われるヘンリー・ロングハーストの残した名言だ。
「人生には誰でも四つの記念すべき日がある。一つ目は誕生日、二つ目は婚約の日、三つ目は結婚の日、四つ目は死亡の日である。だがゴルファーにはもう一つこれに加える日がある。それは初めて100を切った日だ」。米国のゴルフ専門誌主筆を務めたリューイス・ブラウンの名言。
最後は球聖、ボビー・ジョーンズの言葉を。「人生の価値はどれだけの財産を得たかではない。何人のゴルフ仲間を得たかである」。ゴルフを愛する者にとって、寄りすがりたい言葉である。

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