2024年の浜松国際ピアノコンクールで日本人として初の優勝を果たしたピアニスト鈴木愛美が、デビューアルバムを発売した。コンクールでも演奏したシューベルトやバッハ、ハイドンらの「自分の人生と共に歩んでくれているような」楽曲を収録。「作品への思いがどんどん深まっているので、形にできてうれしい」とはじけるような笑顔を見せる。
中でも、シューベルトのピアノ・ソナタ第18番には特別な思いがある。演奏時間が長く決して華やかな曲ではないが、初めて聴いた時に「その美しさに衝撃を受け、時間を忘れるほどとりこになった」。
いつか弾きたいと思い続け、今ではコンクールや演奏会で披露する、自身の代表的なレパートリーに。「実際に弾いてみて、シューベルトの孤独や純粋さに親近感を持つようになりました。その音楽に触れていると自分の奥底にある感情に寄り添ってくれている感覚を抱きます」と話す。
浜松国際ピアノコンクールでは「自分をどう見せるかではなくて、本当に共感できる曲だけを選んだ」という。誠実に曲に向き合って演奏し続けたが、「まさか優勝するなんて、みじんも思っていなかった」と振り返る。
優勝後はオーケストラともたびたび共演、各地での公演も増え、多忙な日々を送る。「シューベルトを軸にしながら、聴いている人にも曲の世界を堪能してもらえるような演奏を続けたい」
31日に東京オペラシティコンサートホールで、ソロ・リサイタルを開催。
× ×
「クレッシェンド!」は、若手実力派ピアニストが次々と登場して活気づく日本のクラシック音楽界を中心に、ピアノの魅力を伝える共同通信の特集企画です。
ポストする














