自身が演出するデフリンピック開閉会式への思いを語る大橋さん=9月、東京都内

 日本初開催となる聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」開幕まで15日で1カ月となる。開閉会式の演出家2人のうち、「きこえない人」代表として起用されたのが、小山市出身で俳優やプロデューサーでもある大橋弘枝(おおはしひろえ)さん(54)だ。先天性聴力障害があり、ろう者と健聴者が共演する舞台芸術を通じて、新たな表現を発信してきた大橋さん。「多様性を持つ多くの人が豊かなコミュニケーションを楽しめる場にしたい」と意気込んでいる。

 大橋さんの耳がほぼ聞こえないと判明したのは2歳の頃だった。手話教育への社会的な理解が深まっていない時代。母親は大橋さんに相手の口の動きを読んで自身も発声する「口話」を徹底的に学ばせた。