ノーベル化学賞受賞が決まった北川進京都大特別教授らのチームは2022年、ごく微小な穴を無数に持つ「多孔性材料」を使い、分離が難しい水と「重水」を効率よく分離することに成功したと発表。東京電力福島第1原発の処理水に含まれる放射性物質トリチウムの分離も原理的には可能といい、チームは「研究を進めたい」とコメントしていた。

 処理水は第1原発で発生する汚染水から大半の放射性物質を除去したもので、敷地内のタンクに保管している。東電は23年8月から、トリチウムの濃度が国の基準未満となるよう海水で薄めて海に流している。