飯沼銘醸(栃木市)は、米の古代品種「愛国3号」で醸した日本酒「姿 純米吟醸 愛国3号 無濾過生原酒」を発売した。愛国3号の日本酒は、小林酒造(小山市)、せんきん(さくら市)からも商品が出ており、2024年産米で造られた愛国3号の酒が出そろった。
愛国3号は本県オリジナルの品種。コシヒカリのルーツとされる「愛国」の改良種として大正時代後期から昭和20年代に生産されていたという。愛国3号を復活させ、酒米として生産拡大や新商品開発を目指すプロジェクトが、県下都賀農業振興事務所が呼びかけにより小林酒造、小山北桜高、栃木農業高が連携して2022年度にスタートした。高校が増やした種もみを地元農家が酒米用に栽培し、3酒蔵がそれぞれの造り方で商品化した。
「姿 純米吟醸 愛国3号 無濾過生原酒」は、麹米、掛米とも精米歩合55%の愛国3号を使った。アルコール度数は17%。日本酒度±0。酸度1・7。飯沼徹典(いいぬま・てつのり)社長は味わいについて「軽めの口当たりでいながらしっかりとお米のうま味も感じられ、甘味が口の中に広がり穏やかに締めくくる」とコメントしている。ラベルは蒸し米をイメージしたという。税別価格は720ミリリットルが2500円、1・8リットルが4800円。
小林酒造とせんきんからは「鳳凰美田 愛国 鳳凰美田×仙禽 Collaboration Ver, 720ml」というコラボ商品が出されている。鳳凰美田が生酛造りで火入れ。アルコール度数15%。仙禽は愛国3号80%に山田錦20%を加え、生酛造りで醸した。アルコール度数13%。無濾過生原酒、火入れ、おりがらみ。
淀川酒店(宇都宮市)の淀川侑紀(よどがわ・ゆうき)さんは「3蔵それぞれの個性が出ていて面白い商品になっている」と話している。