「Tsu―tsu―mu展」の会場。個性的な照明の数々を展示した一角=東京・銀座(提供写真)

 身近にある包むモノたち。(左上から時計回りに)ミカン、卵、小籠包、鳥の巣(提供写真)

 折形デザイン研究所が紹介している箱「家ろっかく・内ろっかく」(提供写真)

 武田拓《はし》(2010年 作家蔵 展示風景 撮影:佐藤基)(提供写真)

 鎌倉や湘南地域の風土を香りで表現した「HATAGO」のフレグランス(提供写真)

 「Tsu―tsu―mu展」の会場。個性的な照明の数々を展示した一角=東京・銀座(提供写真)  身近にある包むモノたち。(左上から時計回りに)ミカン、卵、小籠包、鳥の巣(提供写真)  折形デザイン研究所が紹介している箱「家ろっかく・内ろっかく」(提供写真)  武田拓《はし》(2010年 作家蔵 展示風景 撮影:佐藤基)(提供写真)  鎌倉や湘南地域の風土を香りで表現した「HATAGO」のフレグランス(提供写真)

 ◎今週の一推しイベント

 【4日(土)】

 ▽「Tsu―tsu―mu展 世界をやさしく繋ぐデザインの作法」(~10月13日、中央区・松屋銀座)

 「包む」という行為や精神を、ケアの視点から捉え直すデザイン展が、銀座で開かれている。主催は日本デザインコミッティー。

 飲料水ボトルやCDジャケットのパッケージ、体にフィットするソファ、プリーツ加工の洋服や、硬い殻で生命を守る鶏卵、3層構造の皮で果肉をくるむミカンなど身近なモノを中心に展示。それらを通して人と人のつながりの大切さを考えさせられる展覧会だ。

 グラフィックデザイナーの色部義昭さんがアートディレクションを務め、原研哉さん、佐藤卓さん、深澤直人さんらさまざまな分野のデザイナーが参加。色部さんは「“つつみあう”要素があるとき、人は他者に対するやさしさや気遣いを呼び覚まされる。防寒具や義足など使う人への配慮がこもったデザイン製品や、自然の恵みを与えてくれる食べ物を選び抜いた」と話す。

 生活環境をやわらかく包み込む電化製品の数々も。照明器具「AKARI」は、彫刻家イサム・ノグチが和紙と竹を用いて制作。和紙から透ける電球の明かりは、月の光のように目にやさしい。深澤さんのデザイン理念による「キッチン家電シリーズ」7製品も並ぶ。ポットのように手に取るモノは丸みがあり、壁に沿って置く冷蔵庫などは四角く設計されている。

 折形デザイン研究所は紙に切り込みを入れずに、山折りと谷折りだけで小さな箱を作り、贈り物に込める“心”という見えないものを形にした。「包むと包まれるの循環で世界は成り立っている。デザインを通して豊かな社会の在り方を探ってほしい」と色部さんは話した。

 ○そのほかのお薦めイベント

 【4日(土)】

 ▽「アール・ブリュット2025巡回展 既知との遭遇 自伝的ブリコラージュの世界へようこそ!」(~12月21日、渋谷区、入場無料)

 身の回りにあるものを即興的に組み合わせ、新たな意味を創出するアーティスト6人の作品を展示する巡回展が、東京都渋谷公園通りギャラリーで始まった。

 アール・ブリュットとは、特別な美術教育を受けていない人が自分の考えや方法で表現するアート。6人の活動はこの分野で国内外の評価が高い。

 山形県の福祉施設に通所する武田拓さんのインスタレーション《はし》は圧巻の大作。籠や鉢に無数の割り箸を差し、独特の美しい曲線をつくり出した。全8点の中には高さ2メートルを超す作品も。廃棄物再利用のために、割り箸を牛乳パックに詰める作業を発展させたという。学芸員の河原功也さんは「わずか2カ月で八つの作品を作ったと施設職員から聞いた。本来の目的とは全く違う行動を起こすことで、捨てられた割り箸を芸術作品に昇華させた」と話す。

 赤色の油性ペンを紙の上に垂直に置き、強く押すことでにじませたインクの染みを水玉模様のように描いた鶴川弘二さん。兵庫県の施設で創作活動を続けている。余白にデフォルメ文字で書いたのは、制作中に背後から話しかけた母親の何げない言葉。亡き母のやさしさが伝わってくる。

 知的障害のある作家によるアートを商品化するブランド「ヘラルボニー」で人気の井口直人さんの作品も。缶コーヒーなど身近な物と自分の顔を並べ、カラーコピー機を使って鮮やかな2色で撮影。この作業を20年以上、日課にしているという。

 「自由な考え方や物事のとらえ方に触れ、日常の中に大きな可能性を発見するきっかけにしてほしい」。26年1月15~25日プリモホールゆとろぎ(羽村市)、同31日~2月9日板橋区立成増アートギャラリーで開催。

 ▽「HATAGO パリで調香した鎌倉の香り」(~31日、中央区)

 鎌倉や湘南地域の海辺の情景と文化を香りで表現するフレグランスブランド「HATAGO」が、都内初となるポップアップを、銀座の蔦屋書店で展開している。

 クリエーティブディレクターの野口大介さんが、生まれ育った稲村ケ崎の風景を世界に発信したいとの思いで設立したブランド。パリの調香師ジャンミッシェル・デュリエさんや香水クリエーターの渡辺裕太さんとコラボレーションし、地形や風習、人々の営みを香りとして瓶の中に込めた。鎌倉、稲村ケ崎のほか、七里ケ浜、由比ケ浜をテーマにした全4種のフレグランスを展示。香りを通して、湘南地方の光と風を感じ取ることができる。

 ▽「ソウルで話題のカクテルバーがコラボイベント」(~8日、渋谷区)

 渋谷のブティックホテル「TRUNK(HOTEL) CAT STREET」がソウルにある次世代カクテルバー「NOLO!」とのコラボレーションイベントを、館内のメインラウンジで開催している。

 NOLO!は、厳選した植物由来の成分などを組み合わせ、心と体に配慮した現代的なカクテルを提供し、国内外から注目を集めている。

 ホテルとNOLO!が、アルコール度数が異なる6種類のオリジナルドリンクとフードメニューを特別に用意。アジアを代表する二つの街の個性を反映したカクテルを楽しめるだろう。