【日光】細尾町の宿泊施設「リトルベアーズ」で今夏、観葉植物「パキラ」が2輪の花を咲かせ、青々とした果実を二つ付けている。植物に詳しい栃木市のとちぎ花センターによると、個人が育てるものが開花し結実するのは珍しいという。経営する神山健一(かみやまけんいち)さん(71)、雅子(まさこ)さん(68)夫妻が開業から30年育てて初の出来事。節目を祝うようなタイミングと、その花言葉にまつわる験の良さに2人は驚いている。
開花したパキラは1995年に開業祝いとして友人から贈られた。夜に咲き翌朝には落ちてしまう一夜花で「花が咲くのも知らなかったのに、すぐ落ちてしまうとは」と雅子さんは目を丸くする。健一さんは「突然で驚いた」と苦笑いする。
最初に咲いたのは8月12日。早朝、健一さんが「ラン系の植物の匂い」と、床に落ちたブラシ状の花に気が付いた。2輪目はそれから1週間後の19日だった。
同センターによると、開花には陽光や肥料、温度管理が必要。中南米原産で寒さには弱いという。神山さん夫妻は屋内で育てており、氷点下10度まで下がる冬場も室温は薪ストーブで10度以上が保たれていた。
生育は順調で60センチほどだった背丈は30年で10メートル近くになった。力強く成長する姿が目標達成や成功を連想させることから「勝利」という花言葉があるパキラ。「勝利の女神じゃないけど、そういう力があるのかな」。健一さんは巨木に宿る不思議な力を感じてきた。
「うちに泊まって決勝に進んだチームは負けないんです」。合宿や大会などで同施設を利用したスポーツチームはなぜか、好成績を残すことが多いという。
実は7月末に約50人で初めて宿泊し栄冠を飾ったチームがあった。8月の全日本少年軟式野球大会で初優勝を飾った作新学院中だ。日本一に輝いたのは同15日で、くしくも1輪目の開花直後の快挙だった。
果実は約10センチになった。最大20センチになることもあるといい、夫妻は成長を楽しみにしている。雅子さんは「苦労しながら続けてきた30年の重みを感じるし、節目にご褒美をもらった気持ち。今後も大切に育てたい」と笑顔を見せた。
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