栃木県の那須地区消防本部の男性消防副士長(29)=休職中=が自宅で大麻を所持、栽培したとされる事件。那須地区消防組合は25日に記者会見を開き、東泉真一消防長らが事件発覚の経緯などを説明した。会見では逮捕、起訴された副士長の勤務態度や休職となった経緯などが明らかになった一方、氏名は匿名で発表され、記者からは理由を尋ねる質問が上がった。記者会見のやりとりは次の通り。

 【冒頭発言】

 東泉真一・那須地区消防本部消防長「本消防組合に所属の職員が逮捕、起訴されたことにつきまして、住民の皆さま並びに関係機関の皆さまに深くおわび申し上げます。消防職員という住民の安全と信頼を担う立場にある者が、違法薬物に関与するという極めて重大かつ許されざる行為を行ったことは、断じて看過できない行為であり、組織として重大な問題と認識しています。現在、当該職員は刑事手続き中であり、その処分については判決を待ち、法令および内部規定に基づいて厳正に対処してまいります」

 「また、今回の事案を組織全体の問題として真摯に受け止め、服務規律のさらなる徹底と綱紀粛正を図るとともに、再発防止策の策定と職員教育の強化を進めてまいります。二度とこのようなことが起こらぬよう、職員一人一人の自覚と責任を促し、住民の皆さまからの信頼回復に向け全力で取り組んでまいります。改めまして、本件により多大なるご迷惑とご心配をおかけした全ての皆さまに、心より深くおわび申し上げます」

 人見雅徳・那須地区消防本部次長「経過を説明します。当該職員は平成29年4月1日に採用され、現在は消防本部総務課付の消防副士長、29歳の男性職員です。令和3年に体調を崩し、休職と復職を繰り返し、令和7年1月からは休職していました」

 「次に消防本部が情報を把握した経緯ですが、今年4月上旬、消防本部に当該職員の不適切な行為に関して情報が寄せられました。その内容が事実であれば極めて重大な問題であると認識し、弁護士および警察に相談を行いながら、関係情報の収集を進めてまいりました。その後、警察の捜査が行われ、令和7年5月8日に自宅で麻薬である大麻を所持していたことが発覚し、翌日の5月9日に逮捕されました。このため、警察署内に勾留され、令和7年5月29日に起訴されています。その後、6月5日に自宅で大麻を栽培した容疑で再逮捕され、6月23日に起訴されております。なお、7月14日に当該職員は保釈されております」

 「保釈後、消防本部は本人と面談を行い、事実関係の確認をしてきたところですが、本人からは裁判中であることなどから罪状の認否は得られておりません。次に、懲戒処分に関する手続きですが、今後の裁判での判決を踏まえた上で、法令等に基づき厳正な処分を講じてまいります。また、公表が本日となりましたことは、捜査機関の捜査への影響および事案の解明に支障を及ぼすことのないように慎重に判断したためです。事情をご理解賜りますようお願い申し上げます」

 【質疑応答】

 -4月上旬に寄せられた「不適切な行為」の情報を具体的に教えてほしい。また、当該職員を匿名で発表した理由は。