松江市・島根原発

 原発事故時に入院患者らの屋内退避先となっている松江赤十字病院(松江市)の職員に対し、実際の事故発生後に出勤の意思があるかどうかを尋ねたところ、回答があった約500人のうち出勤に前向きなのは約3割にとどまることが9日、同病院と福島県立医大の調査で分かった。約4割は意思はあるが条件次第と回答した。家族の被ばくや安全確保が主な理由。医療を継続できるか課題が浮かび上がった。

 同病院は、2026年度中に事業継続計画(BCP)を策定する方針で、調査結果を反映させる。全国の原発周辺の医療機関ではBCP策定が進んでおらず、原子力防災を統括する内閣府は同病院の対応をモデルケースとしたい考えだ。

 東京電力福島第1原発事故では多くの入院患者が避難中に亡くなったため、政府は自力避難できない高齢者らは放射線を防ぐ対策を施した病院などへの退避を原則とした。福島県立医大の坪倉正治主任教授は「屋内退避は人手を維持して平時の医療を保てるかが肝だが、厳しい結果だ。実態に即した計画作りに活用してほしい」とする。