東京都の多摩エリアに位置する府中市。「府中競馬場」の通称で親しまれ、一年を通じ、週末を中心に多くの競馬ファンでにぎわう東京競馬場の周辺を歩いた。(共同通信=鈴木賢)
西武多摩川線是政駅で下車し、北にしばらく向かうと住宅地の先に競馬場が見えてくる。広大な敷地を取り巻く是政通りと競馬場通りを歩き、スケールの大きさを実感した。
競馬場の東門をくぐり、「JRA競馬博物館」へ。競馬の歴史や文化に触れ、名馬の足跡をたどることができる施設だ。博物館では今年9月28日まで企画展「馬にかかわるいろいろなおしごと 装蹄師 馬のくつやさん」が開催されている。
装蹄師とは、馬のひづめを保護し、けがや病気を防ぐ蹄鉄を製造、維持管理する専門職。「ひづめの質はレースの結果も左右し、『ひづめなくして馬なし』という言葉があるほど。馬を足元から支える仕事について知ってほしいです」と学芸員の広瀬薫さん。
常設展示の「競馬の殿堂」では、「トウカイテイオー」など華々しい成績を残した優駿のブロンズ像と絵画が鑑賞できる。実際に使用されるスターティングゲートで模型の馬にまたがり、出走を疑似体験できるなど体験型展示も充実しており、世代を問わず楽しめる。
競馬場を後にして、豊かな植生で知られる浅間山(標高約80メートル)がある「浅間山公園」を訪ねた。遊歩道は緑のトンネルのようで、入ったとたん、街の喧騒が遠ざかる。
浅間山は、多摩丘陵が古多摩川や他の河川に削られて小高い丘として残ったものとされる。山は小規模ながら「前山」「中山」「堂山」の三つのピークがあり、トレッキングして縦走気分が味わえる。
浅間山では、初夏に美しい花を咲かせる希少なムサシノキスゲが自生している。この日は、咲き始めた淡いオレンジ色の花がキンランの黄色の花と共に斜面に彩りを添え、目を和ませてくれた。
【メモ】JRA競馬博物館は入館無料。ただし東京競馬開催日は競馬場入場料が必要。