読書離れが加速している。文化庁が先月公表した2023年度の国語世論調査によると、1カ月に1冊も本を読まないとする人が62・6%と初めて半数を超えて過去最多となった。本は電子書籍を含み、漫画や雑誌は含まない。調査は5年おきに行われ、不読率は前回より15・3ポイントも増えた。

 県の調査でも本県の子どもの不読率は年齢が上がるほど高い。高校生は2人に1人が全く本を読まず、危機的状況と言わざるを得ない。活字文化に関わる全ての人が、関心を持って対応すべきである。

 文化庁の調査では、読書量についても過去最多の7割近くが以前と比べて「減っている」と答えた。理由はスマートフォンやタブレットなどの情報端末使用に時間を取られることが最も多く、年齢が低いほどその傾向が高かった。時代の流れでもあり、やむを得ない面もあるだろう。

 一方、少数ながら「近所に本屋や図書館がない」「学校での読書指導が十分でない」という回答もある。行政や活字文化に携わる者は、こうした声にこそ耳を傾けたい。

 読む本の選び方は「書店で実際に手に取って選ぶ」が圧倒的に多いが、その割合は減少傾向にある。全国で書店が減少していることと無縁ではない。代わりに「インターネットの情報を利用して選ぶ」は増加傾向にある。

 県が小中高校生を対象に今年1~2月に実施した子どもの読書活動に関する実態調査でも、読む本の選び方は文化庁調査と同じような傾向だった。ただ「図書館・図書室で見て」が比較的高い割合であることが目を引く。子どもたちにとって、学校図書の充実が読書意欲と結びついていることが見て取れる。

 文部科学省が6月に公表した都道府県別の学校図書館の蔵書充実度を示す指標、学校司書の配置率で、本県の公立小中学校はいずれも全国平均を上回った。このことは評価したいが、不読率の減少に結びついていない現状をみると、問題は別にあるのだろう。

 県は今年3月に策定した県読書活動推進計画で、基本目標に「すべての県民が生涯にわたって読書に親しむ機会を広げる」と掲げた。だが、現状は看板倒れとしか言いようがない。学校の努力だけで成果に結びつかないのは、もはや明らかである。全県を挙げて知恵を絞るしかない。