レクリエーションは、職場のコミュニケーション促進や地域づくり、学校での学級経営、福祉現場での健康づくりなど、社会的な課題解決に向けて生かされてきた。
本県で71年ぶりの全国レクリエーション大会が先月開かれた。約1万5千人が交流大会や研究発表などで交流、研修を深め、現代に生かすレクリエーションの在り方も活発に議論された。県内各分野でのレクリエーション活用が、これを機に拡大することを期待したい。
レクリエーションの普及啓発のため、日本レクリエーション協会は、多くの研修プログラムや支援活動を行っている。同協会は70年以上の活動実績があり、日本のレクリエーション運動をリードしてきた。
設立当初は、フォークダンスなどの普及に取り組み、戦後間もない日本に、体験を通して「民主主義」や「男女平等」という新たな価値観を根付かせる役割を担った。
1960年代に入ると、高度経済成長時代の中で、企業が「明るい人間関係作り」を主眼に取り組んだ「職場レクリエーション」が急速に広まった。その後、健康志向との関わりを強めながら「生きがいづくり」を目指す方向にシフトし、「職場」から「地域」に視線が転換されていった。
80年代以降は、生涯スポーツ、高齢者福祉の領域で不可欠な要素と認識され、余暇開発や教育分野など、広く裾野の広がった社会運動として現代につながってきた。各時代で、社会ニーズに合った援助技術やプログラムが開発され、県内でも多くの人が指導する側、楽しむ側として関わってきた。
宇都宮市をメイン会場に行われた「第78回全国レクリエーション大会2024とちぎ」では、32の研究フォーラム、シンポジウムが開催された。その中の一つ「学校レクリエーションの未来」で事例発表を行った県学校レク研究会副代表の安藤佳子(あんどうけいこ)さんによると、全国ネットワークの立ち上げが検討されるなど、活発に議論されたという。
ほかにも、復興支援、避難所など今日的なテーマにも光が当てられた。県内で「楽しさ」を通じたレクリエーションの活用、普及を加速させるため、関係者は今回の成果を各分野でしっかりと共有してほしい。