今年1月、初めて訪日した50代の米国人夫妻と、日光の土産店に入った時だった。妻が湯飲みの陳列棚の前で足を止め、不思議そうな顔をしている。夫も首をかしげ、私を手招きして聞いた。「この二つのカップは、どうして一つが小さいの?」

 めおと湯飲みだ。私はその日の紙面に掲載された記事を思い出した。「社会全体で男女の地位が平等だと感じている宇都宮市民の割合は13・1%」-。その数字の低さに2人は驚いていたが、女性用の湯飲みが男性用より小さいことを知り、さらに驚いたようだ。

 「オーゥ」。肩をすくめて天を見上げ、いかにも米国人らしく嘆く妻。その表情を見ながら、私も自分で驚いた。ジェンダーの問題には関心を寄せていたのに、食器類にまで男女差がある文化に違和感を持っていなかったことを。

 その日光で今週末、先進7カ国(G7)男女共同参画・女性活躍担当相会合が開かれる。各国の閣僚が湯飲みを見たら、どう反応するだろうか。