そすいの郷直売センターの加工場で草餅を作る鏑木さん(右)

 【那須塩原】1995年1月の阪神淡路大震災で、和菓子職人鏑木忠男(かぶらぎただお)さん(84)=西三島1丁目=は当時住んでいた大阪府堺市で被災した。妻キミエさん(80)と営んでいた菓子店が入る建物は大きく傾き、廃業を余儀なくされたが、故郷の那須地域で再起を果たした。以来30年近く。菓子作りを通じて地域を元気づけてきた鏑木さんは「小さい頃から世話になり、堺から戻る時も受け入れてくれた地元に恩返したい」と語る。大震災はあす17日、発生から28年を迎える。

 流れるような手つきであんこを草餅の中に包み込む。3月のひな祭りに合わせて形はハマグリ。鏑木さんは現在、三区町の農産物直売所「そすいの郷直売センター」で従業員に菓子作りを教えている。14日も、「機械でこの形にするのは難しい」と従業員に手本を見せつつ作業を見守った。

残り:約 596文字