もりそば

再開した店の前に立つ藤倉さん夫妻

もりそば 再開した店の前に立つ藤倉さん夫妻

 お薦めの「もりそば」(750円)は、鹿沼市永野地区の在来品種を石臼でひいて手打ちしている。コシの強さと歯応えが感じられ、かむほどに高い香りと甘みが口いっぱいに広がる。だしの効いたつゆとの相性は抜群で、薬味が味わいを一層引き立たせる。

 1995年に同地区主体の村おこしをきっかけに始めた店は、店主の藤倉喜久夫(ふじくらきくお)さん(69)と妻のナミ子(なみこ)さん(69)が2人で切り盛りしている。

 店は2019年の台風19号で大きな被害を受けた。

 近くを流れる永野川が氾濫し、濁流が店の中まで流れ込んだ。水道などが使えなくなる壊滅的な状況に、藤倉さんも「再建を諦めるほどだった」と振り返る。しかし、再開を待ち望む常連客らの励ましが力になった。ボランティアの協力を受け、自宅を改修した新店舗で今年4月、2年半ぶりに営業再開を果たした。

 「新型コロナウイルスもあり、本当にお客さんが戻ってくれるか不安だった」。そんな思いとは裏腹に、再開以来、土日は来店客でにぎわいを見せている。

 夫妻は「来店した人が味に納得し、喜んでもらえるようにこれからもがんばりたい」と声をそろえた。

 ▼メモ 鹿沼市上永野1752。午前11時半~午後3時。水、木曜定休。(問)0289・84・0719。