【那須塩原】方京1丁目の那須備前焼陶芸家芹田正治(せりたしょうじ)さん(78)が、約30年の陶芸家人生の幕を下ろす。指定難病を患い、作陶の継続ができなくなったためだ。来月には自身の作品の在庫処分セールを予定。芹田さんは「夢を追った陶芸家人生の集大成。備前焼を愛する多くの人に来てもらいたい」と話す。
芹田さんは会社員時代に出張先の岡山県で出会った備前焼に魅了され、49歳の時に那須町豊原甲に工房「正翠窯(しょうすいがま)」を構えて独学で作品を作ってきた。本場岡山県から取り寄せた土を使い、大皿や日用雑器、酒好きが高じてビアマグなどの酒器も多く作った。東日本大震災で窯が損壊しても、2年後に再建。県南や福島県などに根強いファンも多かった。
病魔が襲ったのは6年前。手の震えに悩まされるようになった。徐々に症状は悪化し、2年前に指定難病「進行性核上性まひ」と診断された。そして昨年、断腸の思いで完全に作陶を終えた。
在庫処分セールは11月3~13日と23~27日に行う。支えてくれた人たちへの感謝を込め、力作数千点を表示の半額以下の値段で販売する。売り上げの5%はボランティア活動などに寄付するという。芹田さんは「陶芸をやっていたからこその出会いに恵まれた30年だった。今後も自分にできることを見つけたいね」と話す。
来訪前に妻孝子(たかこ)さん(090・5841・4657)に連絡が必要。