栃木県教育委員会が入るビル

 栃木県内公立学校の運動部で正顧問を務める教員の時間外勤務(残業)は月平均67・9時間に上り、前年比で7・7時間増えたことが12日までに、県教委の2022年度調査で分かった。新型コロナウイルス感染拡大前の19年度の水準(68・0時間)に悪化しており、中学校では平均で「過労死ライン」とされる80時間を超える月も続いた。教員全体では改善傾向もみられる一方、運動部顧問の負担減が進まない実態が浮かんだ。

 調査は4~7月の勤務実態を聞き、公立校の教員1万4045人が回答した。

 教員の長時間労働が全国で問題となる中、県教委は18年度から「県公立学校業務改善推進委員会」を設置し、教員の働き方改革に取り組んでいる。文部科学省は残業上限を「月45時間」と定めており、県教委は26年度までに上限を超える教員をゼロとする目標を掲げている。

 調査では月平均45時間を超えた教員は全体の55・7%で、前年と同じ割合だった。過労死ラインを超えた割合は12・7%で、前年を1・6ポイント下回った。

 文化部顧問の残業は月平均49・0時間で3・9時間減。顧問ではない教員は45・3時間で3・7時間減となり、それぞれ改善した。

 対照的に、運動部の顧問の残業は21年度は7・8時間減少していたが、22年度は増加に転じた。平均の残業が最も多い中学校では4月が79・5時間、5月が82時間、6月が82・8時間で、3カ月平均は81・4時間に上った。

 労働基準法は、個人の時間外労働の合計が2~6カ月の平均で80時間を超えた場合は法違反としている。

 小学校の運動部顧問は4~7月平均が62・4時間で前年比7・2時間増。高校も57・6時間で4・8時間増と、それぞれ残業が増えた。

 県教委は「コロナの規制が緩和され、部活動の以前の形に戻ったことが影響した。4~6月は大会があり、活動が長くなりがちな傾向がある」と分析。顧問の負担軽減に向けて、市町教委や学校に部活動ガイドラインの順守を求め、休日の部活動指導の外部移行の推進を図るなどとしている。