芭蕉そば

鈴木栄一さん

芭蕉そば 鈴木栄一さん

 まずは何も付けずに麺をいただく。すると、香ばしさとほのかな甘みが口内に広がり、そば本来のおいしさに驚く。塩やつゆに付けても豊かな風味は消えず、塩気とのバランスは絶妙だ。

 看板メニューの「芭蕉(ばしょう)そば」は殻付きの実を粗びきした田舎そばで、黒っぽい色と強い香り、歯応えが魅力。もう一つの看板メニュー「遊行そば」は殻をむいた実を使っており、つるっとした喉ごしの良さが客に受けている。店主の鈴木栄一(すずきえいいち)さん(64)が最もこだわるのは、そば粉の鮮度。風味を保つため粉は長期保存せず、必要な時に必要な分だけ店の石臼でひく。ソバの実はもちろん県北産だ。

 鈴木さんがそば打ちを始めたのは約15年前。趣味の一環だったが、仲間と研さんを積む中でどんどんのめり込み、「いつかは実家で店を開きたい」と夢を抱くようになった。那須町役場を退職した後3年ほど修業し、築70年の生家をリフォームして、10月6日にオープンした。

 同町芦野は俳聖松尾(まつお)芭蕉が訪れた地でもあることから、店名やメニューは芭蕉にちなんだ。鈴木さんは「過疎化が進む地元に元気や活気を与えられる店にしたい」と意気込む。

 ▼メモ 芭蕉そば(並盛り)は800円。遊行そば(同)は900円▽那須町芦野2753▽営業時間 午前11時~午後2時(そばが無くなり次第終了)▽定休日 水、木曜(祝日の場合は翌日)▽(問)090・9530・9435。