東京五輪・パラリンピックのスポンサー選定などを巡る汚職事件で、受託収賄容疑の大会組織委員会元理事が4回目の逮捕となった。受け取ったとされる賄賂は、5ルートから総額約1億9600万円。贈賄容疑で本県出身者も逮捕された。苦難の末に開催できた日本での大会の裏で、汚れた巨額の金が動いていた。

 新型コロナウイルスの世界的流行で、大会は1年延期となった上、無観客で開かれた。昨夏の開幕直前の全国世論調査では、開催により感染拡大することを「不安に感じる」との回答が87%に上っていた。なぜ開くのか、疑問の声は根強かった。答えは「カネ」だったのか。

 開催中は日本勢のメダルラッシュで沸き、その感動は31日まで本県で開かれた「いちご一会とちぎ国体、とちぎ大会」でも再現された。五輪日本代表のスター選手らが本県入りし、世界と競った技で魅了した。五輪・パラリンピックの「遺産」が、「いちご一会」に花を添えた。

 それだけに「負の遺産」となる汚職事件が残念でならない。徹底的な解明を願う。