県内でも児童虐待などが後を絶たない中、県内の子育て支援団体などが相談や対象者との接点を増やす対応を強化する動きが出ている。言葉の壁などで孤立しがちな外国人をターゲットした取り組みもある。11月は児童虐待防止推進月間。
妊娠出産や子育てを支援する小山市のNPO法人「そらいろコアラ」は、無料通信アプリLINE(ライン)相談窓口の案内カードを置いてもらう場所を増やしてもらおうと、この秋、メンバーが市貝町を訪問し、約200枚を担当者に手渡した。このほか市町や関係機関に郵送などでカードを提供している。相談は無料。
また、子どもの貧困解消を目指す県内の市民グループ「子どもSUNSUNプロジェクト」と連携し、言葉や文化の壁などから声を上げられず孤立し困窮に陥るケースに光を当ててきた。9月にはフィリピン国籍の女性が宇都宮市内の自宅トイレに新生児の遺体を遺棄した疑いで逮捕された。
こうした事件を受け、ライン相談の周知を強化するとともに、将来的に外国人コミュニティー向けのPRや、英語、韓国語など多言語で相談に対応できる仕組みを作る方針だ。
一方、栃木市国際交流協会は本年度、ネパールコミュニティーからの相談を受け、市内のネパール人向けの育児相談説明会を初めて開催した。
妊産婦らから子どもの食事や予防接種、妊娠中の補助制度などについての質問が集中し、市担当者が答えた。協会の担当者は「行政サービスが知られていないと感じた。ネパール人以外の外国人を対象にした説明会も開きたい」と話した。