第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」(障スポ)第2日は30日、鹿沼市のTKCいちごアリーナで各競技が行われ、栃木県勢は全競技を終えた卓球で8人が金メダルに輝いた。合計では6競技32個の金メダルを獲得。29日分と合わせ55個となった。
陸上は15人が優勝し、肢体不自由者男子2部の久保野泰央(くぼのやすお)(真岡)が100メートルと走り幅跳び、視覚障害者男子1部の青木龍太(あおきりゅうた)(塩谷)がソフトボール投げ、砲丸投げで共に2冠に輝いた。
陸上100メートルのレースを迎えた久保野泰央(くぼのやすお)(真岡)。午前の走り幅跳びを制し、2冠が懸かっていた。「正直、自信はない」と思っていたが、それでも2位に約0.6秒差をつけて優勝を飾った。「支えてくれた仲間のおかげ」と喜んだ。
学生時代はバスケットボールに打ち込んだ。21歳の時、交通事故に遭い、右足首、右足の指が動かなくなった。「大好きな運動を奪われた」と感じ、言葉を失うほど悲嘆に暮れた。
前を向くきっかけは、後に妻となる女性との出会い。バドミントンに打ち込む姿に触れ、共に楽しむようになった。「今の自分でも体を動かせる」。ランニングも始めた。
地元で障スポが開かれることを知った。「少しでも障害者スポーツ振興の役に立ちたい」。出場を目指すことを胸に誓った。
それからは職場の仲間らと週末を中心にトレーニングを重ねた。
自身にとって障害者スポーツは「勝ち負けよりも、仲間と共存共栄を感じ合うもの」。大会ではほかの選手と助け合い、認め合った。「アスリート同士のつながりができたことは、2冠よりもうれししいですね」と目尻を下げた。