第22回全国障害者スポーツ大会「いちご一会とちぎ大会」(障スポ)が、29日に開幕する。台風やコロナ禍による延期、中止を経て4年ぶりの開催となる障スポには、多様な背景のある本県選手が出場する。積み重ねた努力や大舞台に懸ける意気込みを伝える。
いざ、夢の舞台へ。「地元開催だからこそ、これまでの恩返しができるよう頑張りたい」。県選手団の結団式で選手宣誓を担った陸上女子の加藤凜香(かとうりんか)(22)=宇都宮市=は、3輪の競技用車いす「レーサー」で100、200メートルに挑む。
先天性の二分脊椎症により下肢が不自由で、小学校に上がる前から車いすを使う。レーサーに初めて乗ったのは高校1年の時。前傾での乗車姿勢など生活車との違いに戸惑ったが「風をきるスピード」にすぐ魅了された。
その年の秋には県障害者スポーツ大会の100メートルで2位に輝いた。その後は全国各地の大会で活躍し、今年6月の2022北海道・東北パラ陸上競技大会では、自己ベストとなる200メートル38秒19をマークし、堂々の2位に食い込んだ。
障スポで見据えるのは金メダル獲得と37秒台での自己記録更新。県がんセンターで勤務するかたわら、週末を中心に県内外の競技場などで走り込む。
加藤にとって、スポーツとは「つながり」だ。初対面の人が練習や試合で自分を応援し、励ましてくれる。「いつも思わぬところで力をもらうんです」。感謝を胸に、障スポで疾走する。