第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」第3日は3日行われ、栃木県は剣道の少年男女がそろって優勝。レスリング成年男子フリースタイル65キロ級の上野裕次郎(うえのゆうじろう)(県スポーツ協会)などが準優勝した。
試合終了と同時にマットに崩れ落ち、両手で顔を覆った。レスリング成年男子フリースタイル65キロ級の上野裕次郎(県スポーツ協会)は悲願の初優勝にあと一歩届かず。大粒の汗をぬぐいながら「悔しい。申し訳ない」と繰り返した。
母校・日体大の後輩と激突した決勝。手の内を知り尽くす者同士の一戦は、互いが低い姿勢で攻めの起点をつぶし合う、膠着(こうちゃく)状態になった。
決勝点は1-0の第2ピリオド20秒過ぎに献上した。素早い仕掛けからローリングにつなげられて連続失点。「足は良く動いていた」が、一瞬の防御の遅れに泣いた。
自身初の栄冠は逃したが、最高成績3位を超える快進撃だった。飛び上がって背後を取る、持ち味のアクロバティックな攻めも何度も見せて会場を沸かせた。初戦では学生屈指の強豪森川海舟(もりかわかいと)(東京)に0-6から逆転勝ち。県勢最上位の結果でフリースタイルのエースの役割は果たした。
大学卒業後の2020年に栃木県チームへ加入した。練習や合宿で高校生らに教える機会を得たことで「自分の技術も再確認できた」と、自らの成長にもつなげた。
出身地で開かれた岐阜国体は、中学3年生で出場はかなわなかった。「地元国体の雰囲気を味わえて良かった。頑張れ、と多くの人に言われて重圧を感じつつも奮起できた。人生のプラスになる経験」。栃木県で過ごした2年半に、悔いは残さなかった。