選手宣誓する楢崎智亜選手(左)と狐塚美樹選手=1日午後3時15分、カンセキスタジアムとちぎ

 42年ぶりの炬火が雲一つない青空へと燃え盛り、県民の真心を凝縮した壮麗な総合開会式が、全国から集った選手、観客を一つにした。天皇、皇后両陛下が見守る中、旗手の重量挙げ塚田直人(つかだなおと)(18)を先頭に本県選手団が晴れやかに歩を進め、スポーツクライミング・楢崎智亜(ならさきともあ)(26)とホッケー・狐塚美樹(こづかみき)(26)の選手宣誓にも万雷の拍手が降り注いだ。新型コロナウイルス流行下の祭典だけに感染対策は必須だが、ボランティアやおもてなしなど県民の心の豊かさを全国に伝える絶好の機会だ。本県の総力を挙げた11日間、一期一会の国体が幕を開けた。

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 東京五輪代表の2人の真っすぐな声が、抜けるような秋空に響いた。

 「磨き上げてきた心技体を存分に発揮し、ここ栃木からスポーツの魅力を伝え、勇気と感動と元気を届けられるよう最後まで力いっぱい競技することを誓います」

 スポーツクライミング成年男子の楢崎智亜(ならさきともあ)(宇都宮市出身、県スポーツ協会)と、ホッケー成年女子の狐塚美樹(こづかみき)(日光市出身、グラクソ・スミスクライン)は選手代表宣誓の大役を果たした。

 天皇陛下のお言葉、炬火点火の直後で、会場の雰囲気は最高潮。一般観覧者と各都道府県選手団、大会関係者1万8千人近い視線を一身に浴びて力強く宣言した。

 各都道府県団旗に囲まれ、交互に言葉をつないだ。3年ぶりの国体開催で「感謝と誇りを持って臨んだ」と狐塚。降壇すると「なんとかうまくできた」と2人に笑みがこぼれた。

 大仕事を終え、狐塚は「県を代表して宣誓できてよかった」と安心した様子。国際舞台を数多く経験している楢崎も「なかなかない緊張感。ホッとした」と胸をなで下ろした。

 楢崎は、元スポーツクライミング選手で同じ東京五輪を戦った妻の野口啓代(のぐちあきよ)さん(33)が2019年茨城国体で選手宣誓を務めており、夫婦で国体の宣誓者となった。「本番は緊張するよと脅かされた」と報道陣を笑わせ、「夫婦でバトンをつなげた感じ」と表情を緩めた。

 本会期前半に競技を控える2人。「優勝を目指して頑張りたい」と気持ちを切り替えていた。