栃の葉国体で入場行進の最後を飾る栃木県役員選手団。3万人の観衆がスタンドを埋めた=1980年10月12日、県総合運動公園陸上競技場

 42年前の1980年10月12日。宇都宮市西川田町の栃木県総合運動公園陸上競技場で、第35回国民体育大会秋季大会の開会式が行われた。「栃の葉国体華やかに開幕」-。翌日の下野新聞1面には大きな見出しが踊った。会場を埋め尽くす役員選手団と観衆の写真からは、栃木県初開催となった国体の盛り上がりがうかがえる。13年の歳月を掛けて準備を進め、結実した栃の葉国体開会式を振り返る。

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 大会スローガンは「のびる力、むすぶ心、ひらくあした」。開会式には特別参加のブラジル選手を含め、全国から約1万9千人の選手、役員が出席。行進した808人の栃木県選手団の旗手を、後にロサンゼルス五輪でレスリング銀メダリストに輝く長島偉之(ながしまひでゆき)さん(69)=足利市=が務めた。「おおるり」「なんたい」などの名が付いたスタンドでは3万人の観衆が万雷の拍手で歓迎した。

 船田譲(ふなだゆずる)知事の開会宣言に続き、前年開催地の宮崎県知事から大会旗が引き継がれた。モントリオール五輪・重量挙げ日本代表の堀越武(ほりこしたけし)さん(79)=小山市=が選手宣誓の大役を担った。

 見どころの集団演技では、県民1万6千人が11種目に出演。そろいのレオタードに身を包んだ2500人の幼児によるパフォーマンスに続き、宇都宮女子商業高(現宇都宮文星女子高)のマーチングバンド、足利市民の八木節披露、児童による日光杉並木街道の身体表現など栃木県の魅力を存分に伝えた。

 クライマックスは中高生ら約7500人が繰り広げる「栃の葉賛歌」。踊りと吹奏楽、合唱などが一体となり、集団で県花ヤシオツツジの開花を表現した。ご出席された昭和天皇は身を乗り出してオペラグラスで熱心にご覧になり、繰り返し大きな拍手を送られたという。

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 第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」は10月1日、開幕する。新型コロナウイルスの影響で3年ぶりの開催となり、国体の名称が国民スポーツ大会に変更される前の「最後の大会」でもある。同11日までの11日間で陸上競技や柔道、スポーツクライミングなど全35競技が行われ、約2万人の選手・役員が参加。観覧・観戦などで会場を訪れる人は数十万人に上るとみられる。