宇都宮地裁

 那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡り、5遺族が県や県高校体育連盟、講習会の責任者だった教諭ら3人に計約3億8500万円の損害賠償を求めた訴訟の第3回口頭弁論が21日、宇都宮地裁(浅岡千香子(あさおかちかこ)裁判長)で開かれた。遺族側は同校山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の損害に対する過失相殺の適用を改めて否定した。

 県側は生徒への安全配慮義務違反を認めた一方、毛塚さんについては「生徒を引率する立場であり、自身の生命を守るための判断ができた」と過失相殺を主張している。

 遺族側は、県が毛塚さんの使用者的地位にあり、安全保護義務を負う労働災害だったと指摘。講習会の不十分な安全対策や、毛塚さんの登山経験の浅さなどを挙げ「雪崩の危険を認識できたはずはなく、注意を払っても雪崩の回避は不可能だった」と過失相殺が適用されないことを強調した。

 今後、発生当時の現場状況を再現した映像を法廷で流すことや、当事者尋問も求めた。閉廷後、毛塚さんの父辰幸(たつゆき)さん(70)は「3教諭が判断を間違えて事故に遭った。息子の過失はあり得ない」と話した。