成年男子100メートルバタフライ決勝 力泳する水沼=日環アリーナ栃木屋内水泳場

 第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」会期前競技第7日は17日、日環アリーナ栃木屋内水泳場で競泳が始まり、成年男子100メートルバタフライで水沼尚輝(みずぬまなおき)(真岡市出身、新潟医療福祉大職員)が51秒62で初優勝を飾った。

 このほか少年男子B100メートルバタフライで阿部匠真(あべたくま)(大田原高)が56秒03で7位入賞。少年女子B100メートル自由形の鈴木里歩(すずきりほ)(作新学院高)が57秒80で、少年男子A800メートルリレーの本県が7分34秒30で共に8位入賞した。

 成年男子400メートル自由形の遠藤光(えんどうひかる)(作新学院高-中大)は10位、少年女子A200メートル背泳ぎの赤羽沙也加(あかばねさやか)(黒磯南高)と少年男子A200メートル背泳ぎの尾崎元希(おざきげんき)(白鴎大足利高)は11位、少年男子A200メートル平泳ぎの岩澤裕(いわさわゆう)(大田原高)は22位で予選敗退した。

■「推しは後半」言葉通り

 「推しは後半」。まさに水沼尚輝(みずぬまなおき)(新潟医療福祉大職)らしい勝ちっぷりだ。

 25メートルのターン後にぐんぐん伸び、強い推進力を保ったままゴール板に突っ込んだ。男子100メートルバタフライ世界選手権メダリストは意外にも国体初制覇。接戦を制し「応援を自分の力に変えて勝ち切ることができた」と大歓声に応えた。

 世界選手権から3カ月。「感覚が変わっていた」と予選は思うような泳ぎができなかった。決勝の51秒62というタイムは万全ではない今のコンディションでは予想通りだった。

 前半を5位で折り返し、終盤まで勝負がもつれても動じない。いつものように周りの選手は視界に入れずに自分の泳ぎに集中し「声援が後半を加速させる」という言葉通り、きっちり逆転してみせた。

 東京五輪は得意の後半に突き放され、世界との差を思い知った。それまで取り組んだ前半の強化を改め、今励むのは後半の強化。さらに常に泳ぎに新たな要素を取り入れる水沼らしく、海外選手によく見られる「泡が立たない手の動き」を今大会から試している。

 待ちに待った地元国体で、表彰台の一番高い場所から見えたのは後輩たちのうれしそうな顔。「彼らがこれからの本県競泳界を担ってくれるはず」。夢をつなぐ泳ぎを置き土産に、再び世界へ羽ばたく。