第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」会期前競技第4日は13日、宇都宮市の日環アリーナ栃木ほかで各競技を行い、体操の少年男子が団体総合で準優勝を飾り、少年女子は団体総合11位と健闘した。
「3度目2位」未来への糧 体操少年男子
まさかの失敗からはい上がった。体操少年男子の4種目目・跳馬で絶対的エース谷田雅治(たにだまさはる)(作新学院高)が着地で尻もち。予選より1・150点も得点を落とし、優勝どころか2位確保すら危うい状況に陥った。
ここから僚友たちが奮起した。
跳馬が得意の小野凉城(おのりょうき)(同)が国内の現高校世代で数人しか成功していない大技「ロペス」をぴたりと着地。今大会種目別得点で最高の15・050点をたたき出し、沈んでいた谷田も一瞬で笑顔が弾けた。
小野自身にとっても初の15点台。「(谷田を)カバーしたいと思ったし、練習通りできた」。続くチーム唯一の2年生大島凱(おおしまがい)(同)も谷田を上回る13・750点。チームの種目別得点は予選をわずかに上回り優勝争いへ望みをつないだ。
谷田も最後の種目・鉄棒で意地を見せた。演技中に両脚がけいれんしながらも着地に成功。「落ち着いていたし“ゾーン”に入れた」。予選を0・400点上回る14・300点でエースの役割を果たし大阪との激しい2位争いを競り勝った。
単独で千葉代表を担った市立船橋高に全国高校総体、全日本ジュニアに続いて3度屈した無念は、選手全員の心に深く刻まれた。「今回も2位だけど、この夏は無駄じゃなかった」と前を向いた谷田。あの悔しさがあったから、と言える未来を築く道のりはまだ始まったばかりだ。