10日に始まる「いちご一会とちぎ国体」の会期前競技のビーチバレーボールで、本県少年女子の監督を務める外松広美(とまつひろみ)さん(37)=芳賀町下高根沢=は、自宅敷地内にコートを造るほどの情熱で国体に懸けてきた。「栃木にビーチバレーを根付かせたい」。鍛え上げた選手と狙う頂点。海とは縁遠い本県で、競技の魅力をアピールする絶好の機会を迎える。
「家を建てる時、コートが造れるところを探したんです」。本県開催の国体を見越し、2018年に自宅の隣に造った「Hiro(ヒロ)ビーチコート」で笑顔を見せた。
水橋小(現芳賀南小)でバレーボールを始め、芳賀中、鹿沼東高、国士舘大へ進んだ。強豪大でのレギュラー争いは厳しく、悩んだ結果、ビーチへの転向を決めた。最初は「日焼けも水着も嫌」だったが、4年生の時に全日本大学選手権で優勝するほどに努力した。
砂上で動き続ける体力と足腰、レシーブ、トス、アタックなど全てをこなす万能性。風を読む力、戦術、2人のコンビネーション-。体格より「頭を使って勝つ」奥深さに魅了された。
東京都内で特別支援学校の教員などとして働き、16年、国体を見据え古里に戻った。選手がほとんどいない環境下で、普及させる決意を固めた。
ただ当時、県内には専用の練習場所がなかった。「ないなら自分で造ろう」と業者に依頼し、自宅の隣に縦16メートル、横8メートルのコートを造成した。砂のきめ細かさにもこだわった。
成年の本県代表で国体出場経験もあり、少年女子の監督に就任。高校を回っての選手集めから始まり、土日を中心に選手を鍛えながら人数を絞り、大会に出場する1組の高校生ペアを決めた。まな弟子は8月の全国大会で3位となるなど、優勝を狙える位置にいる。
一方、一般への普及も目指す。自宅コートでは子どもたちや地域の人たちを対象に体験会やスクールを開き、地域クラブも作った。関係者と連携し、ビーチサッカーやビーチテニスなど、柔らかい砂の上で子どもからお年寄りまで楽しめるビーチスポーツの拠点を増やすことも大きな目標だ。
その試金石ともなる国体。「選手はやってくれますよ」と力を込めた。