東京都新宿区高田馬場の路上で昨年3月、山手線を歩いて一周する動画を配信していた女性=当時(22)=を刺殺したとして、殺人罪などに問われた高野健一被告(44)の裁判員裁判で、東京地裁は15日、懲役16年(求刑懲役20年)の判決を言い渡した。

 井戸俊一裁判長は、被告は少なくとも55回にわたり、腹や首などをナイフで刺したり切り付けたりしたと認定。女性の声が途絶えると、配信状態のスマートフォンで顔をアップで撮影し「死んでますかね」と発言するなどし、被害者の尊厳を踏みにじったと非難した。

 一方、被告は好意につけ込まれ、女性の詐欺的な手口によって多額の現金を貸しており、法的手段も取ったが返済されなかったという経緯に触れ「相応に同情する余地はある」と指摘した。

 弁護側は、被告は顔を傷つけるつもりで女性の死は望んでおらず、抑止力が働きにくいなどの自閉スペクトラム症(ASD)の特性が影響したと主張。井戸裁判長は、遠因にあることは否定できないとしつつ「特性がなくても行動に歯止めが効かなくなることはある」と退けた。