小山市などが地域新電力会社の設立に向け準備を進めている。県内市町が関与する地域新電力会社は、宇都宮市、那須塩原市に続いて3例目となる見込みで、県南では初となる。地域内での資源と経済の循環に向け、早期に事業を軌道に乗せてほしい。

 新会社は、小山広域保健衛生組合が建設を進める新たなごみ焼却施設の余熱で生まれた電力を買い取り、下野市と野木町を含めた3市町の公共施設への売電を目指す。今年12月に設立し、来夏の新焼却施設稼働時から電力供給を始める予定だ。

 小山市は新会社設立の目的に(1)エネルギーの地産地消(2)地域の脱炭素化の推進(3)地域経済の活性化-の3点を挙げる。焼却施設の余熱発電を地域内の公共施設で利用することでエネルギーの循環が図られるほか、3市町は従来より安価に電力を購入できる見込みという。さらに会社の利益を地域の脱炭素に関する事業に還元するとしている。

 温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの2050年の実現に向け、国や自治体がこぞって力を入れている。小山市などが官民連携で進める今回の事例が、全国のモデルケースとなることを期待したい。

 ごみ処理施設から出る余熱電力を活用するのは、先行する宇都宮市、那須塩原市と同じ仕組みだが、小山市が主導する新会社が両市と異なるのは出資者の内訳だ。両市の場合は電力事業に精通した県外資本が入っているが、小山市は「オール県内」で集めようとしている。

 電力事業に関しては、一般社団法人エネルギー・まちデザインユニット(北九州市)の横尾将(よこおまさる)代表理事の知見を活用する。横尾氏は熊本市などが立ち上げた地域新電力会社で代表取締役を務めた経験があり、現在は小山市の地域プロジェクトマネージャーを務める。

 出資者が全て県内であれば、地域内での経済循環の比率がより高まる。今後決まる詳細な出資構成や経営・組織体制などを注視したい。

 同市は地域の脱炭素化や生物多様性回復を目指す官民連携組織の参加企業からも「一口株主」を募る方針だ。新会社の事業を通じて小山、下野、野木の3市町の行政と企業・団体がより連携を深め、脱炭素化に向けた機運醸成につなげてほしい。