このエッセイを除いて連載は持ってないので(哀しい)、それほど「締め切りに追われる」生活ではないです。
基本的に単行本書き下ろしがメインなので、「〇月末くらいに初稿を出して、翌月いっぱいくらいに書きなおして、その次の月末に初校を目指して~」くらいのざっくりスケジュールです。
なので、小さいころ漫画で読んだ「締め切り間際の漫画家さんの悲喜劇」的な時間との戦いは、そうそうないだろうなーと思っていたのですが、違う戦いがありました。
「壁」です。
スランプとも違う、越えなければならない壁。
その壁は「担当編集者さんの意見」という素材でできています…。
自分の限界を超えて書いたと思った原稿が、早々に「NG」で戻って来た時の絶望感たるや。
しかし、それを乗り越え、ぶち壊していかねば本にはならないのですから、なんとか対処するしかありません。
自分で書いた原稿(しかも書きたてホヤホヤ)をクラッシュアンドビルド的に書きなおしていくというのは、気力体力どちらもキツいものです。
こんなとき、どうするか。デビューして5年目の私が編み出した技です。
(1)ジョギング
部屋にこもっていても煮詰まるだけ。しかし、近所の公園で一時間ほど走ると、あら不思議、急にアイデアが浮かぶことも。足を動かすのが良いらしいです。私だけかと思っていたら、直木賞や本屋大賞を受賞した超人気作家さんも「スランプになったので走りに行った」とエッセイに書いていらしたので、黄金のパターンなのかもしれません。
(2)コーヒーを飲みにいく
家でも飲めるんですが、やはり場所を変えてコーヒーを飲みながらボーっとしてると、ふいに浮かんでくるものです。周囲の雑談からヒントを得られることも多々。それと、その往復の車中で「ビビビ」と来ることもあります。
(3)あえて全部忘れる
今年11月発売予定のAという原稿で、自己最大級の壁にぶち当たってしまいました。担当編集者さんは「刊行時期を延期しましょう。その間、別の原稿に専念してください」
別の原稿とは、6、8、10月発売の「ナカスイ!」シリーズ三部作(文庫版)でした。Aは本当は4月発売予定だったのですが、家庭の事情で7月に延期になり、さらに壁にぶち当たってしまって11月になりました。
現在、ナカスイに関しては3巻の「海なし県の水産列車」のゲラチェックを残すのみになりましたが、内容も作風も全然違うからか(Aは明治時代のグルメ小説で三人称)、非常に頭が切り替わりました。
お分かりでしょうか。そう、私はこのAという作品の分厚い壁にぶち当たり、1年以上もがき苦しんでいたのでした。
しかし、(3)がいちばん効いたのかもしれません。ついに担当編集者さんからOKが出たのです。
ついに壁を乗り越えたのだ!と、バンザイ三唱して泥のように眠り、気がつけば今回のエッセイの締め切り日を過ぎてしまってました。申し訳ありません。
てなわけで、今回ネタに使わせていただきました。
※拙著「オリオンは静かに詠う」が参加中の「本の甲子園」ですが、7月14日に行われた2回戦を突破しました。ありがとうございます。

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