障害者が地域で歯科治療を受けられるよう歯科医や医療機関が連携する本県独自の「県障害者歯科医療システム」が運用開始から10年を迎えた。システムで位置付けられた各地域の「障害者歯科医療協力医」を受診した患者は、増加傾向にある。
一方で、歯科医の高齢化などから協力医の数は減少傾向で、新規登録者は伸び悩んでいる。2016年度に142人いた協力医は24年度は112人となった。システムの認知度と関心を高め、新規登録者を増やしてすそ野を広げたい。
意思疎通の工夫など障害者歯科治療のノウハウは、高齢患者らへの診療にも生かすことができる。そうした点を積極的にアピールすることは協力医確保につながるだろう。
同システムは16年度に始まった。障害者歯科医療の実績や経験がある歯科医を協力医として登録し、診療に当たってもらう。
以前は、障害者を専門的に治療する県歯科医師会運営の「とちぎ歯の健康センター」で多くの患者が診察を受けていた。システムの運用開始後は、歯科治療もするセンターが患者の相談窓口となるとともに協力医との調整役も務め、地域で歯科医療が受けられる仕組みを構築した。
県などによると、知的障害や自閉症がある人は歯科治療に強い不安を感じパニックになることがあるという。歯科医院側も通常より多くのスタッフや診療時間を要するため、対応は容易ではない。
協力医になるとしても小規模開業医などでは、バリアフリー化や歯科衛生士の確保など課題は少なくない。ただ超高齢化社会を迎え、さまざまな場面でバリアフリーは求められる。将来を見据えた対応は無駄ではないはずだ。
歯科衛生士に関しては、センターが人材育成機能を果たしている。今後も多くの歯科衛生士に障害者診療の経験を積んでもらい、人材を確保しておきたい。
患者の中には、どこで歯科治療を受けられるのか分からない人もいる。相談機能を持つセンターの存在を広く周知し浸透させることも必要だ。
口腔(こうくう)機能の低下は健康悪化の要因とされており、口腔ケアの重要性が指摘されている。県など自治体には、日常的な口腔ケアの必要性を強く発信していくことも求められる。
ポストする