記者会見で研究について説明する東京大の奥山輝大教授=3日、東京都文京区

 神経細胞の働きを光で操作する「光遺伝学」を使い、マウスで特定の相手に対する「嫌い」という感情を作ったり消したりすることに成功したと、東京大などのチームが9日付の米科学誌サイエンスに発表した。人間に応用できれば、うつ病改善の治療につながる可能性があるという。

 まず複数のマウスを2時間ほど一緒にして“仲良し”にした後、1匹のマウスで神経活動を操作して攻撃性を持たせ、様子を観察。攻撃されたマウスは、相手に近づく時間が半減し避けるようになった。脳神経の動きを調べると、記憶をつかさどる海馬の神経細胞とへんとう体にある恐怖に関わる細胞の間で、情報伝達が活発になっていた。

 チームは光に反応するタンパク質を使い、攻撃されたマウスで神経細胞の働きを操作。海馬からへんとう体へ情報が伝わる神経回路の接続を弱めると、相手にまた近づくようになった。嫌いという感情を失ったためと考えられる。

 逆に別の光刺激を使い、海馬を刺激しながら恐怖の感情を植え付ける電気ショックを与えると、攻撃がなくても仲良しのマウスに近づかなくなった。