2025年の県内労働災害死傷者のうち60歳以上は719人に上り、統計が残る1998年以降で初めて700人を超えた。身体機能以上の作業を行うなど、ミスマッチが要因の一つとみられる。
事業者側は高齢労働者の健康や身体機能を十分理解し、職場環境や作業内容を点検、見直したい。負担を減らし作業を補うような設備・装置の導入を進めるべきだ。
高齢者は体力の衰えを自覚できないケースが少なくない。自らを過信せず、作業に当たることが肝要だ。
栃木労働局によると、全年代の労災死傷者は2200人。前年より減ったものの、3年連続で2200人以上と高止まりしている。あわてたり、あせったりすることなどが事故の起因とされる。まずは労使とも、こうした行動を戒める職場内の声掛けなどの基本動作を徹底し、抑止を図らなければならない。
60歳以上は719人で全体の約3割に上る。16年の405人に比べると、10年で約1・8倍となった。
労働局は、労働環境や作業内容が高齢者に合っていないことを要因に上げる。具体的に、高齢者が高所作業や機敏さを求められる作業で事故となる事例があるという。
労働局によると、県内の従業員21人以上の企業に勤める55歳以上の労働者は、昨年6月時点で9万1162人に上り、全年代の3割弱を占めている。
高齢化や人手不足に伴い、働く高齢者が増え、高齢者が働ける職場も増えている。今後さらなる増加が見込まれるだけに、事業者は高齢者労災を防ぐ社内体制や社内の意識醸成に努めるべきだ。
4月に改正労働安全衛生法が施行され、事業所は高齢者労災防止に向けた作業環境改善が努力義務となった。厚生労働省は高齢者労災防止のための指針を策定している。
指針では、経営トップが対策に取り組む方針を表明し、対策の実施体制を明確化するよう求めている。
その上で、身体機能の低下を補う設備・装置の導入など職場環境の改善、高齢者の健康や体力の把握、個々の状況を踏まえた対応などが必要だとしている。
高年齢者を対象とした体力チェックの実施も奨励している。こうした指針にある対策を着実に実行し、職場内の事故を防いでほしい。
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