わずか1票差だった3月の那須町長選で、全投票用紙を再点検していた県選挙管理委員会は12日、次点で落選した新人小山田典之(こやまだのりゆき)氏が当選した現職平山幸宏(ひらやまゆきひろ)氏を2票上回ったとして、平山氏の当選を無効とする裁決結果を公表した。県選管は町選管の決定を取り消し、結果を覆した形となった。

 近年では2023年の小山市議選で、1票差の当落が逆転したことがあった。この時も市選管の決定を県選管が覆し、その後の裁判でも県選管の裁決は維持された。ただし、決着まで1年以上かかった。今回も裁判になれば、同様の道をたどることになるかもしれない。

 この二つの選挙で共通しているのは、疑義票の取り扱いの難しさである。自書式の投票が続く限り、疑義票はなくなることはない。投票所にタブレットを設置し、画面に表記された候補者名から選択する電子投票の導入を急ぐべきではないか。

 那須町長選で県選管は790票もの疑義票を抽出し、有効か無効かを判断した。投票総数の約7%にも当たる。誤字脱字や別人の記載、名前の誤記などを一つずつ法令や判例に照らして判断する作業は、膨大な時間と労力がかかった。小山市議選でも同様の状況が見られた。

 昨年11月の茨城県神栖市長選では「まんじゅうや」「だんごさん」と記載された疑義票の取り扱いを巡り、市選管と県選管で裁決が分かれた。東京高裁で係争中だ。

 電子投票なら、これらの疑義が入り込む余地すらなくなる。02年に地方自治体電子投票特例法が施行されたが、機器のトラブルから全国に広がることはなかった。だが近年はタブレットの進化と低価格化が進み、全国で復活の動きがある。

 電子投票のメリットは疑義票の解消だけにとどまらない。開票時間は大幅に短縮できる。自書が難しい障害者にも優しい。そもそも有権者の意思を投票結果に正しく反映させることは、民主主義の根幹である。

 問題はタブレット導入にかかるコストと、国政選挙で法整備が遅れていることだ。現行では特例法に基づき条例を制定した自治体の地方選挙しか、電子投票ができない。自書式による混乱をこれ以上避けるためにも、国が率先して電子投票導入を急ぐべきだろう。