本県人口の国勢調査の2025年速報値は186万4833人で、前回20年の調査時より3・5%、6万8千人余り減った。人口規模は1985年とほぼ同じだ。特筆すべきは、初めて全25市町で減少したことである。

 前回増えた宇都宮、下野両市も減少に転じ、その基調が一層、鮮明になったことを重く受け止めたい。自治体は子育て支援など減少傾向を抑える対策に引き続き注力してほしい。一方、生活や地域を維持させながら効率的に都市や行政の機能などを集約する「スマートシュリンク」(賢い縮小)も視野に入れ方策を検討すべきである。

 25年の県内合計特殊出生率は1・14で、6年連続で最低を更新した。県は本年度からの「新とちぎ未来創造プラン」で、60年に人口140万人を維持する目標を掲げる。出生率向上、人口流出抑制の方策を尽くしての数字だ。

 どうあっても人口が減る状況では、自治体財源の確保、行政サービスの維持が難しくなる。全国知事会は昨秋、スマートシュリンクの必要性を盛り込んだ提言をまとめている。この考え方は避けて通れないだろう。

 県のプランは、県内を5地区に分け、課題を整理している。「賢い縮小」の要素が見て取れる。宇都宮など2市2町の「宇都宮地区」では、課題に「広域交通の充実」と「子育て支援での連携」を盛り込んだ。鹿沼、矢板など4市2町で構成される「鹿沼・日光・塩谷地区」の場合は「周遊観光の促進」「公共施設の老朽化を踏まえた相互利用の必要性」を挙げている。

 救急消防、上下水道などの集約も想定できる。広域連携は機能維持の可能性を秘める。都市機能を集約させる「コンパクトシティー」も重要な選択肢だ。自治体はこうした視点を改めて持ちたい。

 産業分野などでの生産性向上も鍵を握っている。農林業の担い手が先細りになる中、先端技術を使った次世代農業やスマート林業の推進は代表例となる。生成AI(人工知能)などを効果的に活用すべきである。

 他にも多くの視点はあるだろう。「賢い縮小」と言っても、公共施設の統廃合など各論では議論が割れるかもしれない。自治体、住民、企業が知恵を出し合い、一体感を持って取り組みを進めることが前提だ。