川と共存するまちづくりについて学ぶ「第33回全国川サミットin小山・渡良瀬遊水地」が5月末、小山市内で開かれ、全国に広がる河川空間の持続的な発展を誓うサミット宣言を採択し、閉幕した。
本県初となる開催に、県内11市町長が参加した。気候変動に起因する自然災害や生態系の損失といった課題に直面する中、各市町はサミット宣言にのっとって行動し、防災減災対策や環境保全、地域振興などを推し進めてほしい。
サミットの舞台となった渡良瀬遊水地は利根川中流域に位置し、4県4市2町にまたがる日本最大の遊水地だ。明治期の渡良瀬川の度重なる洪水や川周辺に甚大な被害をもたらした足尾鉱毒の対策の一環として造成が始まり、1922年にほぼ完成した。
その後、関東地方で多くの死傷者を出した47年のカスリーン台風を受け、調節池の設置が進んだ。それでも2019年の台風19号による大雨時に、遊水地にためた水量は容量ぎりぎりだったとされる。
来年はカスリーン台風から80年を迎える節目の年だ。気候変動による降雨量の増加が懸念される中、国土交通省は利根川の大改修を進めているが、過去の悲劇を繰り返さぬようしっかりとした治水対策を求めたい。
同遊水地はラムサール条約に登録された自然の宝庫でもある。サミットで事例発表した小山市下生井小と乙女中の生徒児童は「私たちにできることを見つけ、行動したい」と決意を語った。彼らの宣言は頼もしく、貴重な資源を引き継ぐ担い手が増えたことをうれしく思う。鉱毒事件を契機に廃村となった旧谷中村跡地で復活した自然を、官民挙げて守り抜いてほしい。
遊水地では生物多様性の象徴とされるコウノトリも飛来し、同市では7年連続でひなが誕生した。5月末には石川県羽咋市で、国の特別天然記念物のトキが本州で初めて放鳥された。小山市などがトキ定着に向けた取り組みを一層推進すれば、遊水地の空でトキとコウノトリが飛び交う将来はそう遠くないかもしれない。
一方、遊水地周辺ではイノシシによる人身や農作物、堤防への被害が多発し、クマの目撃情報も寄せられるようになった。周辺住民の命と暮らしを守るため、獣害対策にも今まで以上に広域で連携した対応の強化が必要だ。
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