取り外した床板でフェンスをたたき「演奏」するチンパンジーのアユム=2024年3月、愛知県犬山市(京大ヒト行動進化研究所提供)

 チンパンジーが自発的に道具を作り、“演奏”をして意思表示をする行動を確認したと、京都大の服部裕子助教(比較認知科学)らの研究チームが2日までの米学術誌に発表した。発声で感情を表す行為が、道具を使った音表現へ進化することを示唆し、人間の楽器演奏の起源を探る上で新たな手がかりになるとしている。

 チームは、京大ヒト行動進化研究所(愛知県犬山市)で飼育する26歳のオスのチンパンジー「アユム」を観察した。2023年2月~25年3月、アユムが道具を引きずる、投げるなどして音を出し、意思表示する行動89例を解析。飼育施設内の通路の床板を取り外し楽器のように扱う過程も記録した。

 道具による打音は、手や足で木の幹などをたたいて出す「ドラミング」より安定的で、一定のテンポが維持され約10秒~数分続いた。音の作り方もランダムではなく、「たたいた後に引きずる」や「引きずった後に投げる」といった決まったパターンが多くみられ、個体同士で場所を確かめ合う発声「パントフート」に似た構造だった。