華やかな技巧が持ち味のピアニスト亀井聖矢が6月、ドイツのドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団の来日公演に出演し、ドナルド・ラニクルズの指揮でベートーベンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」を披露する。冒頭の堂々としたモチーフが印象的な名曲中の名曲。「幸せで前向きな気持ちになれる作品なのでたくさんの人に聴いてほしい」

 2023年からドイツのカールスルーエ音楽大で学ぶ。現地は時間がゆったりと流れ、森を散歩して豊かな自然に感銘を受けたり人々の温かさに触れたりする中で「ベートーベンの音楽を肌で感じられるようになった」と語る。

 昨年5月のエリザベート王妃国際音楽コンクールで5位に入賞後「コンクールに縛られず自由に自分の道を模索したい。作曲も勉強したい」と話していた亀井。今年4月の日本でのリサイタルでは、昨年秋ごろから作曲を進めた「3つのエチュード」を満を持してプログラムに盛り込んだ。

 革新を求めるより「感情を共有する」ことを意識して取り組み、それぞれ「眩光」「未知」「倦怠」とタイトルを付けた。自らの内面を探り当てたかのような多彩な曲調は聴衆を引き込んだ。ベートーベンをはじめ、優れたピアニストでもあった作曲家は多い。作曲に挑戦したことで「何度も弾いた曲でも楽譜の見方が変わり、作曲家の考えや感覚を新鮮に捉えられるようになった」。

 時代が変化しても「自由や希望を求め、感情を共有したいという人間の気持ちは変わらない」と信じる。「過去の偉大な作品を通して伝えられることと、今を生きる自分たちだからこそ共有できること。どちらも大切にしながら活動していきたいです」と力を込めた。

亀井の出演日程は以下の通り。

6月19日 福岡シンフォニーホール

6月20日 ザ・シンフォニーホール(大阪)

6月21日 愛知県芸術劇場コンサートホール

6月22日 東京芸術劇場コンサートホール

6月23日 ミューザ川崎シンフォニーホール

6月26日 文京シビックホール大ホール(東京)

6月27日 所沢市民文化センター ミューズ アークホール(埼玉)

 「クレッシェンド!」は、若手実力派ピアニストが次々と登場して活気づく日本のクラシック音楽界を中心に、ピアノの魅力を伝える共同通信の特集企画です。