北関東唯一の看護系短期大となる那須短期大が4月に開学した。2012年開校の那須看護専門学校が前身で、短大への移行で地域における保健医療と福祉向上の中核的存在を目指す。新たな教育機関の誕生が、看護の担い手確保だけでなく地域医療の充実に寄与することを期待したい。

 同短大はカリキュラムの大きな柱に独自の学問「地域協創看護論」を位置付ける。地域の歴史や文化、社会・医療的特性を踏まえ、患者や地域住民、医療・介護機関、行政がいかに協力し、健康維持や疾病対策に寄与できるかを研究する。

 1年生は那須地域の歴史や文化を知る科目「那須学と地域医療」を受講、地域包括ケアシステムや在宅・訪問看護など地域医療を支える看護実践へと学びを広げる。独自の学問の提唱は「地域医療は地域の人の手で」という短大側の強い意志の表れといえる。

 厚生労働省の衛生行政報告例によると、24年度の本県の保健師、助産師、正・准看護師を合わせた看護職員数は人口10万人当たり1393・7人。全国平均を21・8人上回るものの、正看護師に限れば全国平均を67・3人下回る1033・8人にとどまる。全国的に希望者不足も深刻で、25年度の看護師国家試験の受験者数は5万9614人とピークだった21年度から約1割減少した。

 県の推計では、本県の高齢化による医療需要は35年度ごろまで拡大を続けるとみられており、看護人材の確保は待ったなしの状況だ。離職抑止の観点からも、多様な働き方導入や待遇改善など、官民一体となり看護職の魅力向上に努める必要がある。

 22年度から、学位プログラムの責任を担う「基幹教員」に複数大学との兼務を可能にする「基幹教員制度」が運用されている。県内には同じ県北医療圏の国際医療福祉大のほか、自治医科大、獨協医科大といった医療系大学が存在する。各大学が連携を深め、医師を含めた優れた医療人材を継続的に輩出できる体制構築を目指してほしい。

 くしくも、大田原市(旧黒羽町)出身で日本近代看護の礎を築いた大関和(おおぜきちか)をモチーフにした女性が主人公を務めるドラマが放送されている。看護職が衆目を集めるこの機会を好機と捉え、国や県は看護職の理解促進や人材確保の取り組みに一層注力すべきだ。