6月10日、「ナカスイ!海なし県の水産高校」の文庫版が祥伝社から発売になります。
私が初めて文庫化を経験したのは、デビュー作「百年厨房」のとき。それまで、単行本と文庫版の読み比べというものをしたことがなかったので、「文庫化」というのはサイズが小さくなり、お値段がリーズナブルになるものだという意識でいました。
しかし、作家さんによって「文庫化」への対応はさまざまなんだとか。
誤字脱字修正のみの方もいれば、ストーリーに手を入れる方もいるとのこと。
さて、私はどうしようか。
単行本が出たあとは読まないので(間違いが見つかるのが怖い)、文庫化にあたっては久々に読み返す形になります。
すると、アレが気になるコレが気になる。
いっそのこと、ストーリーも再構築して全部書き直してしまおうか。しかし、「百年厨房」にはデビュー作ゆえの粗削りさがあり、なんとしても受賞するんだという気迫も込めていました。修正したら、その粗削りさや気迫が消えてしまうかも。
悩んだ結果、単行本が出た後にLRTが開通したということもあり、そのあたりのエッセンスも少し加えた形にして、ストーリーの軸はいじらないように加筆修正しました。
もう一つの「どうするか」問題は、表紙。単行本の表紙をそのまま使いたいという作家さんもいれば、変更したい方もいるそうな。
単行本の写真表紙はとてもステキで、私のデビュー作でもあるので、思い出深いのです。だけど、文庫化というのは新たにアプローチする機会。考えた結果、イラストでお願いすることになりました。
文庫版が出て一年以上経過し、特に後悔などもなく、満足していました。
そして、「ナカスイ!」三部作の文庫化の話が出てきました。
特に第一作は、重版やメディアミックス(ラジオドラマ化)、中高入試の試験問題採用など、私にいろんな「お初」をもたらしてくれた思い出深い作品です。
しかし、今後残っていくとしたら、単行本ではなく文庫。単行本は時代設定などが具体的で、発売から三年が経過し、社会情勢の変化などもあります。
悩んだ結果、ストーリーの軸にも手を入れ、全体的に修正を加えることにしました。
表紙も、単行本のイラストがとても気に入っていましたが、やはりアプローチを変えたいと思い、新たなイラストレーターさんにお願いすることにしました。
そして、単行本を持っている方にも、ぜひ文庫版をお読みいただきたい。そのためには文庫版に「プラスアルファ」が必要です。「百年厨房」は、「冷やしコーヒー」のレシピをつけましたが、「ナカスイ!」は…。
ぜひ、お手にとってご確認いただけますと幸いです。

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