ジェンダー平等の視点を政策全般に反映させる「ジェンダー主流化」が広がる中、宇都宮市は本年度、女性の視点を取り入れた都市整備の在り方について本格的な検討に着手する。都市計画の策定段階から女性の参画を高めようとする姿勢は評価できる。具体的な施策事業に落とし込み、実行に移していくべきだ。
市は次世代型路面電車(LRT)を軸としたネットワーク型コンパクトシティの形成を進めている。JR宇都宮駅西側へのLRT延伸と併せ、歩いて楽しい「ウオーカブル」なまちづくりも掲げる。今後本格化するインフラ整備にジェンダーの視点を積極的に取り入れ、全国に誇れる都市環境を構築してほしい。
市は昨年度を「女性活躍加速化元年」と位置づけ、女性活躍推進の観点から施策事業を全庁的に点検した。その中で、都市計画の策定などへの女性参画が依然として低い現状が浮き彫りになった。
女性の視点でまちを見直そうと市は2月、若手女性職員によるフィールドワークを試行的に実施した。中心市街地や公園の施設などを巡った職員からは「トイレの場所を示す案内表示が欲しい」「歩道に起伏があり、ベビーカーや車いすでは通行しづらい」といった課題が指摘された。一方で、古くなった遊具が「かわいい」と評価されるなど従来は気づいていなかった魅力が見いだされ、多様な視点の重要性が改めて確認された。
市長をトップとする女性活躍推進本部の下に本年度、女性視点で都市整備の在り方を検討する推進チームを設ける。女性といっても、学生、子育て世代、高齢者など立場や生活様態は多様である。それぞれの声をいかに施策事業に反映させるのか、取り組みの本気度が問われる。特にLRTなどの公共交通を軸にした都市形成では、夜間の移動や停留場の滞留環境など安心安全の確保が欠かせない。
女性視点の導入は、決して女性のためだけのまちづくりではない。これまで見過ごされがちだった不便や不安を解消し、都市の質を高めることにつながる。市では進学や就職を機に若年女性が東京圏などへ転出する傾向にあるが、暮らしやすさが向上すれば、定住や回帰の促進にも寄与するだろう。ジェンダー主流化を都市設計の標準とする。そうした新たな物差しを県都・宇都宮から発信したい。
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