福井県の坂井市長選と同市議選が投開票された4月19日、SNS(交流サイト)で特定の候補者への投票呼びかけと受け取れる投稿があったとの情報が、福井新聞の「ふくい特報班」(ふく特)に寄せられた。投票当日の選挙運動に該当し公選法違反となる恐れがある投稿は複数の陣営で確認された。選挙でのSNS活用が広がる中、公選法上の規定は十分に浸透しておらず、課題となっている。(福井新聞)

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 「坂井市市長選挙投票締め切りまであと1時間です。かなり僅差となっています。まだ、投票されていない方の投票で当選が左右される可能性があります。まだの方是非投票お願いします」。ふく特に情報提供があった投票日のSNS投稿は、市長選に立候補した新人の斎野秀幸氏(49)の動画とともに投票を呼びかける文言がつづられていた。

選挙関連のSNSのスマートフォン画面。投票日に特定の候補者への投票を呼びかける投稿は公選法違反となる恐れがある
選挙関連のSNSのスマートフォン画面。投票日に特定の候補者への投票を呼びかける投稿は公選法違反となる恐れがある

 投稿したのは斎野氏の陣営スタッフの一人。自身のアカウントに個人の判断で発信したもので、「最後の最後まで知人に応援を呼びかけたかった」という。現在は削除しており、公選法のルールについて「認識不足だった」と釈明した。

 公選法では、SNSで特定の候補者の投票を呼びかける行為は選挙運動に当たり、公示・告示から投票日の前日までの期間のみ認められている。対象は候補者や陣営担当者に限らず、投票日に発信した場合は公選法違反に該当しかねない。

投票率上げたい

 市長選で再選した池田禎孝氏(64)はX(旧ツイッター)上で、投票日の早朝に「坂井市長候補、池田よしたかです。有権者の皆様、大切な1票。投票をお忘れずに!」とのコメントを投稿。周囲に相談して「誤解を招きかねないため、すぐに削除した」とする。

 池田氏は取材に「純粋に大事な選挙なので1人でも投票を呼びかけたい思いだった」と説明。「自分に投票してという意図は全くなかった」とした上で、「軽率だった。公選法に対する認識が甘かった」と反省を口にした。

 坂井市議選に出馬した三宅小百合氏(63)のXには、「明日は投票日です」として自身への投票を呼びかける動画が、投票日の未明に投稿された。前日深夜にアップロードを行ったが、不具合で一時中断され、日をまたいだとみられるという。20日になって気付き、削除した。「意図的ではないけれど、選挙違反となる時間の投稿になってしまった。悪かったと思っている」と自戒する。

 県選管は公選法の規定を説明した上で、「選管が個別の事案を判断する権限はない。違法性があるかどうかは警察が判断することになる」としている。

知る人少ない?

 一方で、有権者からは「SNSが身近になったけれど、ルールの線引きを知る人は少ないのでは。安心して投稿を通じて政治参加できるようにしてほしい」と困惑の声も漏れる。

 2月の衆院選の県内選挙区の陣営担当者は、党の方針で各選挙とも、投票前日に支持者へ注意喚起の投稿を行っていると説明。「投票日の投稿は、政党ロゴやイメージカラーが含まれるだけでも、違反と受け止められかねない」と細心の注意を払う。

 1月の知事選のある選対幹部は、スタッフへのルール周知に努めたものの、「SNSを見てくれるユーザーにまで注文は付けられない」と指摘。投票日の選挙運動を禁じる趣旨に照らすならば「投票当日に特定候補者への投票を呼びかける投稿を見られる状態になっていること自体がおかしな話」とし、現実的には「そもそも線引きはできず法律の限界なのでは」と疑問を投げかけた。